真言禅・阿字観


 阿字観(あじかん)とは、密教の瞑想法の一つです。阿字観では、梵字の「阿」字を本尊として、その字形に宇宙の真理を観じます。阿字観は、密教の根本経典の一つである『大日経』において初出しますが、日本では、平安時代の弘法大師空海によって伝えられたとされています。

 阿字観の修行は、まず呼吸を整えることから始まり「あ」は一文字で大日如来様を表すサンスクリットの文字で、それぞれのご両親から授かった命です。その根源をたどっていくと、この地球の誕生にまで遡ります。そして地球を生み出した根源こそが大日如来であり、その命の響きを自身の心に観じるのが阿字観です。


阿字観の進め方


1.調身


形を整えます

2.調息


呼吸の調子を整えます

3.調心(正観)


瞑想にはいります

4.出定


瞑想から普段の状態に戻ります


1.調身


      

座り方


半加座(又は、正座・椅子に着席)

手の形


法界定印

姿勢


身体を前後・左右に揺らして重心を安定させ、背骨を意識して背筋を伸ばし肩の力を抜きます

視線


目は半眼(鼻筋の少し下に視線を落とす)


2.調息


呼吸の調子を整える


口からゆっくりと息を吐く


身体の中の不浄な気を絞り出し遠くへ離れて行く ことをイメージし、吐ききったら鼻から息を吸う 鼻から入った息は喉・胸を通って全身に染み渡る ことをイメージします。 お腹で少し息を留めたら、ゆっくりと口から 吐き出していきます。

 


3.調心(正観)


心の中に「あ」をイメージしながら心を落ち着けていきます。谷間から聞こえる野鳥の声、水のせせらぎ、吹き抜ける風の音、自然の響きを観じながら、森羅万象あらゆる命と共にあることをイメージして下さい。  


4.出定


法界定印を解き、合掌、一礼


両手を頭上にかざし、身体に触れないように手を下ろしながら息を吸う。手を膝上で少し留め、手を膝頭から前方にずらしながら息を吐ききる。