お大師さまは、仏教には、解き明かされた仏教<(けんぎょう)>と秘密の仏教<密教>があると説いています。顕教とは、お釈迦様が人間の言葉で真理を説いた教えであり、その言葉は文字として経典となりました。これに対して、密教とは、お釈迦様が言葉だけでは語りつくせなかった、「真理を実践で示す教え」なのです。

 密教は大乗仏教のひとつであるため、出家者だけではなく在家者も救われるとされます。密教の本質は「誰もが仏性をもっているが、ふだんはその心を忘れ、煩悩に覆い隠されている。

 しかし、その仏性に気づくことができれば、仏と一体となり、この身のこのままで悟りに至り、暮らしていくことができる」という考え方にあります。

 「仏陀」とは悟りを開いた人の意です。仏教の教えは、この“悟りを開く”という点では、顕教も密教も同じです。お釈迦様は、功徳を積み重ね、その結果、菩提樹の木の下で悟りを開き「仏陀」となりました。これが仏教の始まりとされますが、ここ(顕教)では、悟りを開くには「気の遠くなるような無限に長い時間功徳を積み重ねることが必要である」と説かれています。

 これに対し密教では、現に存在しているこの身このままで悟りを開き、仏陀となることができる(これを「即身成仏」といいます)”と説いています。これが、顕教と密教の最大の相違点です。


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